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路で一定電圧に変換して使用し、その際に電圧を高めることはまずないので、それぞれの機器での使用電流と周囲温度に対しての使用最低電源電圧までが電池の作動時間(容量)になる。
(4) 保存寿命(自己放電):化学電池の場合、電池を使用しないでいても、少しずつ放電をして、その容量が減少することは避けられず、これは保存温度が高いほど加速される。この自己放電は、電池の種類によっても巽なっており、少しずつ改善されているが、EPIRBやSART用の電池の特性として重要な性能の一つである。
(5) 温度特性:化学電池は、化学反応を利用するので、温度が高くなるほどその反応が活発化し、低温ではその逆になる特性がある。従って、電池の種類によって、その使用温度と保存温度範囲が決められ、EPIRBやSART用の電池の場合、その容量は使用最低温度で設定しなげればならない。
(6) 湿度:湿度が多くなると温度の変化により、結露をして放電を加速し、また、電池容器の発錆などで性能が低下することもあるので注意を要する。
(7) 寸法・質量:電池は、同し容量でも寸法・質量が小さいほどよいことはいうまでもない。
(8) 安全性:電池は、正常の使用状態または端子間の短絡(ショート)などの誤使用によって発熱、破壊、有毒ガスの発生などがあってはならないが、そのような現象の恐れのあるものもあるので注意が必要である。使用済みの電池の処理の問題も重要であり、多くの電池は火の中に投入することを禁止されている。
(9) 市場性:電池は何時でも、何処ででも、安価で、簡単に入手できることが望ましいが、EPIRBやSART用の電池はどうしても、専用の電池が使用されるのでこの原則を守ることができず、多種少量生産のため一般の市場の電池よりも甚だしく高価になり、適正在庫の問題も生ずる。電池の極類による価格差も非常に大きいのが現状である。
1次電池の中での化学反応は、主として正(プラス)極と負(マイナス)極の作用物質(起電反応のもととなる物質)と電解液とによって行われる。マンガン電池は、正極作用物質に2酸化マンガン(Mn02)、負極作用物質に亜鉛(Zn)、電解液に塩化アンモニウム(NH4Cl)と塩化亜鉛(ZnCl2)の水溶液を使用する。これに対してアルカリマンガン電池は、正極作用物質に2酸化マンガン(Mn02)、負極作用物質に亜鉛(Zn)、電解液に苛性カリ(KOH)の水溶液を使用する。両電池とも、素電池の公称電圧は1.5

 

 

 

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